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キャラクター作家インタビュー9

アメリカでグラフィックデザインを中心に活動。グラフィカルなキャラクターを創作し、木彫りの作品作りなどもされている恒岡さんにアメリカでのビジネスとキャラクター事情などをお聞きしました。

恒岡さんは、これまでどのようなお仕事をされてきましたか?

わかりやすいところですと、ナイキやアディダスのティーシャツ等、マイクロソフトのプロダクト関連やポスター、ヤフーのイベント用の屋外のグラフィック等をやってきました。広告関連の仕事が多いと思います。

アメリカで活動されようと考えたきっかけを教えてください。

昔から絵を描くのは好きだったのですが、大学は普通の4年制の大学で、就職活動の時期になり将来のことを真剣に考え始めたときやはりどうしてもイラストを描いたりする仕事に就きたいと思いました。
しかし美大卒ではなかったので、デザイン関連の就職が難しく、思い切って一から勉強してみることにしました。
できるだけいろんな刺激を受けた方が将来の作品にもオリジナリティーとして生きてくるのではないかという理由から全く違った環境に身を投じてみようと思い、アメリカに留学してデザインの勉強をしようと思いました。
生活習慣も言葉も違うので、確かに毎日が新鮮でした。
アメリカのデザイン学校卒業後、運良く現地で就職できたのでしばらく経験を積み、予想以上にこちらでの仕事が面白かったので、その後独立、そのまま現在もアメリカで活動をすることになりました。

日本とアメリカのビジネスの違いをどんなところで感じますか?

日本ではアルバイト以外に経験はないのですが、やはり一番の違いはカジュアルさではないかと思います。全く知らないところに営業を行うのもあまり抵抗がないような気がします。後はクライエント側も最初に契約書を交わすのにあまり抵抗がないので、契約書さえしっかりしていればその後の料金のトラブルの懸念が日本のビジネスと比べて少ないというのは聞いたことがあり、個人的にはその通りだと思います。

ご自身が描くキャラクターの特徴を教えてください。

コンセプトとしては、かわいさを残しつつも少しかわった個性のあるものを目指しています。見た目は、直線を多く使った幾何学的なデザインにこだわっています。かわいいものは、丸みを帯びているのが典型的ですが、それに対しての挑戦とも言えます。

キャラクターを創作する際のアイデアはどのようにして見つけますか?

いろんな言葉から連想することが多いと思います。
例えば日本語の4文字熟語から、どんなキャラクターを想像するか等と考えてアイデアを膨らまします。『電光石火』など、イメージが膨らむ言葉は多いと思います。
英語だと、”Monkey Business”という言葉があるのですが、字面だけみると『猿の仕事』ですが、実際はインチキとかそういう意味があります。それを知っていても頭の中に自然にスーツを着た猿がブリーフケースを持っているイメージが浮かびます。そういった日本人ならではの言葉の誤解を逆手に取ってそれを題材に展開していくことが多いです。

木材を使った作品作りは、恒岡さんの中ではどのような位置づけになりますか?

昨年、イギリスの愛好家向け玩具メーカーの依頼でデザインしたものがソフトビニールのおもちゃへのプリントとして立体化されたことがきっかけで、デザイナーズトイという分野に興味を持ち始めました。
グラフィックデザインで培った知識と木彫の技術を生かして、竹の板にデザインを施し、それを重ねて立体を表現することに思い至りました。
最初は自分のデザインを立体化したらどうなるだろうという試験的なものだったのですが、思ったより反応が良くて、いまではシリーズで制作してオンラインの販売も行っています。ですので、基本的にはサイドビジネスとして展開していくつもりです。
しかし、平面だけでデザインしていたキャラクターをもとにデザインされたものなので、表現方法の一つとも言えます。逆に立体だからこそ表現できる発見もあり、それがまた平面のデザインに還元することもあり、これからはそんな表裏一体の関係として展開していけたらと思っています。

制作過程画像 1

アメリカでのキャラクター事情などをお聞きします。人気のある日本のキャラクターは?

宮崎駿シリーズのとりわけトトロは人気のようです。やはりアニメが浸透してきているのが大きいのでしょう。
ドラえもんなんかも最近ではよく知られるようになってきています。ポケモンはここ数年ずっと人気があるので、特にピカチューの人気は不動です。
日本といえばゲームも有名なので、例えばマリオは今ではディズニーに引けを取らないほど認知されている印象があります。

キティはもはや世界で人気ではないでしょうか? 私個人の分析ではやはりそのシンプルさだと思います。シンプルではっきりとしたラインのスタイルはビジュアルとしての強さにつながると思うんです。シンプルということは普遍性もあり、コラボ等の応用も利く。まさにオールラウンドに活躍できるキャラクターですね。シンプルさというのは、幅広い人気につながる重要な要素であると思います。
そのニュートラルさ故に受け手にとって自分を反映させやすい、ということはキャラクターとして、幅広い層に働きかけることができる。だからキティの表情というのは確かにかわいいけど特に笑っていたりとか、特定の表情はしていないと思います。そのため個人によってみたいようにみれるということになると思います。その普遍性が人気の秘密なのかもしれません。

日本のキャラクターやポップカルチャーに対する関心度は?

日本のポップカルチャーに対する関心は非常に高いと思います。
私は西海岸のシアトルにいるので、特に日本やアジアの影響が強い地域にいますが、想像以上に浸透してきているように感じます。
こちらに来て約10年になるのですが、10年前と比べるといろんな違いに気づきます。たとえば大手の書店に行くと今は翻訳された日本のまんがコーナーがアメリカンコミックのセクションよりも大きいところが珍しくありません。ポケモンも子供や若い世代にものすごく人気があり、かなり大規模のコスプレのイベントも都市部では毎年恒例になりつつあります。日本のアニメ(日本のアニメの画風も含め)もANIMEとして定着しつつあり、アニメという言葉は英語のAnimationからきた言葉だとは知らない若い世代の方が多いと思います。
忘れてならないのはゲームのカルチャーではないかと思います。ゲームのシェアで言えばソニーと任天堂が2大巨頭として、アメリカで唯一対抗するのが、マイクロソフトのみです。ですからゲームに関連した日本のキャラクター等はもはやおなじみになっています。Kawaiiとか、Chibi等という言葉も定着してきていて、日本発のキャラクターの画風やそれをまねたものをさして使われ、英語のCUTE等とは分けて使われています。
西海岸のシアトルという場所柄特に顕著なのかもしれませんが、やはりここ10年ほどのインターネットの発達もかなり手伝って、日本のポップカルチャーは、特に若い世代の間では急速に浸透している感じがあります。

アメリカのキャラクターの特徴はどのようなところにあると思いますか?

かわいさよりも個性的なキャラクターが多いところだと思います。
日本のキャラクターの方が一般的に、かわいいと思います。それに加えて、日本のキャラクターの方が『ゆるキャラ』とか、カテゴリーとしてくくれるトレンドみたいなものがありますが、そういうものがあまりない印象を受けます。例えばアメリカのキャラクターに気持ち悪いデザインのものがあるとします。日本のキャラクターなら気持ち悪さの中にもかわいさが含まれていると思うのですが、アメリカのキャラクターはただただ気持ち悪いとか。もしかしたらこれもかわいさの一つの要素なのかもしれませんが、日本のキャラクターにはよりシンプルなデザインのものが多いかもしれません。

(日本を除く) 海外の作品で人気のあるキャラクターはありますか?

イタリアのデザイナーがはじめた、TOKIDOKIというキャラクターラインがあります。
日本のキャラクターに影響を受けて、コンセプトも日本のものが多いです。忍者とか芸者とか典型的なモチーフがアメリカで受ける要因なのかも知れません。
初めて見た人は、日本のキャラクターかなと思ってしまうぐらいに、日本のキャラクターのスタイルを取り入れています。それがアメリカでも人気があり、昨今ではサンリオと提携したりと、興味深いです。

最後に、海外市場でも通用するキャラクターを創作したいと考えている方へ、アドバイスをお願いします。

まだ自分自身も模索中なので、アドバイスをできる立場ではないのですが、キャラクターデザインというのは普通のイラストと比べると、応用が利いて、いろんな商品等に発展する可能性を秘めているので、愛すべきキャラクター、つまり自分が愛情を注いで育てたキャラクターというのが、もしかしたら一番大事なことではないかと思います。
ハローキティの分析が正しいとすれば、シンプルでインパクトのあるキャラクター作りも効果的かもしれません。

プロフィール画像

プロフィール

愛媛県生まれ、横浜育ち。
早稲田大学教育学部英文学科卒業後、シアトルで芸術大学コーニッシュ・カレッジ・オブ・アーツを卒業。
アディダスやナイキの T シャツをはじめ、マイクロソフト、グーグル、ヤフーなど国内、国外に関わらずクライエン トは多岐にわたり、幅広い方面で活躍。2006年春に自身のスタジオを立ち上げて独立した。現在はスタジオのデザインワー クのかたわら、母校のイラストレーションのクラスで教鞭もとっている。

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